塩原の「木の葉石 ( このはいし )」 と 化石園
 栃木県北部に位置する塩原は温泉と紅葉、スキー場などで知られた県内有数の観光地です。塩原はまた、地質学の世界では化石の産地としてよく知られています。化石にも、年代の違う2つのものがあります。ひとつは第三紀中新世(今から1000万年ほど前)の貝類などで、当時この付近に広がっていた海に生息していたものです。同じような種類の貝化石が東北日本などの各地から発見されており、古くから研究されている塩原の名前を取って、「塩原型貝化石群集」と専門家の間では呼ばれています。
  もうひとつは「木の葉石」として知られているものですが、今回はこちらについて紹介すことにします。「木の葉石」は今から数十万年前、第四紀更新世中期に現在の塩原の温泉街付近にあった古塩原湖(塩原化石湖)に堆積した地層(塩原湖成層)の中に含まれる化石を指します。古塩原湖は塩原の南側に位置する高原火山の活動に伴って形成された湖です。成因についてはカルデラ説などいくつかの説があり、はっきりしていません。この湖に周りから土砂や火山灰が流れ込み、湖水の中で繁殖していたケイソウの殻なども加わって形成されたのが、塩原湖成層です。箒川に沿って、バウムクーヘンのような薄い葉理が発達した塩原湖成層の露頭が点々と見られます。
  塩原湖成層からは百数十種類の植物の他、昆虫、魚、カエル、ネズミなど多数の化石が産しています。これらは葉の葉脈が細かなところまでわかったり、動物の体毛が残されていたりするなど、化石としては例外的に保存がよいもので、学界の注目を集めています。
  「木の葉化石園」はこのような素晴らしい化石の産地に、1905年(明治38年)に開園して以来、敷地内から採集される化石の調査と保存、展示活動に努力してきました。展示室には多数の塩原産の化石のほか、世界各地から収集されたいろいろな化石や鉱物も展示されています。また、木の葉石の原石を割って、化石探しを楽しむ体験コーナーも設けられています。
      
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